会社設立後の届出早見表|従業員の有無・役員報酬・資本金で「出すもの」と「まだ出さないもの」を仕分ける
この記事の窓口順(目次)8項目
登記が完了し、届出の一覧を見たものの「この全部を自分の会社も出すのか」が分からない方に向けた記事です。ネットの一覧には、従業員を雇う会社向けの届出も、資本金の大きな会社向けの届出も同じ列に並んでいて、ひとり社長の会社には関係のない書類まで混ざっています。
ここでは会社設立後の手続きを、会社のタイプ別に「出すもの」「まだ出さないもの」に仕分けます。窓口ごとの地図は一覧・全体像の別記事にあるので、この記事は自分の会社に当てはめる作業用の早見表として使ってください。
会社設立後の届出は「4つの質問」に答えると数が決まる

会社設立後の手続きの一覧を見て身構える人は多いのですが、全部を出す会社はむしろ少数です。届出の数を左右するのは会社の規模の大小ではなく、次の4つの事情です。早見表を読む前に、自分の会社の答えをメモしておいてください。
- 従業員を雇うか:役員以外に、パートやアルバイトを含めて1人でも雇う予定があるか
- 役員報酬をいつから払うか:設立直後から払うのか、数か月後に始めるのか、当面は払わないのか
- 設立時の資本金が1,000万円以上か:消費税の扱いが変わる分かれ目
- 本店がどこの自治体にあるか:地方税の届出の名前と期限を決める
期限の起点についても一言だけ添えます。税務署の届出でいう「設立の日」は、原則として法務局が設立登記の申請を受け付けた日で、登記が完了した日ではありません。2026年2月2日からは、要件を満たせば行政機関の休日を設立の日として登記できる特例もあり、その場合は指定した休日が設立の日になります。
この記事では「社会保険」を健康保険と厚生年金保険の2つ、「労働保険」を労災保険と雇用保険の2つの意味で使います。会社設立後の届出は、この2つで窓口がまったく違うためです。
出典・参考:法務省:休日を会社等の設立の日とすることが可能になりました(法務省)
株式会社か合同会社かで、設立直後の届出の種類は変わらない

「合同会社なら届出が少ない」という話を耳にすることがありますが、税務署・自治体・年金事務所・労働基準監督署・ハローワークに出す届出の種類は、株式会社と合同会社で変わりません。国税庁の手続き案内でも、法人設立届出書は普通法人を設立したときの届出として一つにまとめられています。
株式会社と合同会社で違う点・同じ点
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 税務署の法人設立届出書 | 必要 | 必要 |
| 代表者の書き方 | 代表取締役の氏名 | 代表社員の氏名 |
| 添付する定款等の写し | 定款の写し | 定款の写し |
| 社会保険の新規適用 | 報酬を受ける役員がいれば対象 | 報酬を受ける社員(役員)がいれば対象 |
| 労働保険・雇用保険 | 従業員を雇えば対象 | 従業員を雇えば対象 |
違いが出るのは、書類に書く肩書きや、定款で決めている事業年度などの中身です。会社の形で迷うより、次の節から見ていく「役員報酬」と「雇用」の答えのほうが、会社設立後の手続きの量をはるかに大きく左右します。
会社の形ごとに要る手続きと要らない手続きを並べた記事は、株式会社のやることと合同会社のやることにも分けてあります。
出典・参考:C1-4 内国普通法人等の設立の届出|国税庁(国税庁)
どの会社も必ず出す届出は、税務署と自治体の2か所

4つの質問の答えに関係なく、会社設立後に必ず出すのが税務署の法人設立届出書と、本店のある都道府県・市区町村への法人設立の届出です。国の法人税と、地方の法人住民税・法人事業税の両方に登録するための手続きと考えると分かりやすいでしょう。
届出の5点セット(提出先・期限・様式・添付書類・提出方法)
| 書類 | 1 提出先 | 2 期限(起算日) | 3 様式の正式名称 | 4 添付書類 | 5 提出方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 法人設立届出書(国税) | 納税地の所轄税務署 | 設立の日以後2か月以内(設立の日を含めて数える) | 法人設立届出書 (2026年10月6日確認) |
定款等の写し | e-Tax、または書面を持参・送付 |
| 法人設立・設置届出書(東京都の例) | 所管の都税事務所(都税支所)・支庁 | 事業を開始した日から15日以内 | 法人設立・設置届出書 (2026年10月6日確認) |
定款・寄附行為・規約等の写し | 窓口、郵送、eLTAX |
自治体の届出は、表の東京都の例をそのまま当てはめないでください。大阪府は「法人設立等申告書」で法人設立の日などから2か月以内、名古屋市は設立などの日から30日以内と、名前も期限も起算日も違います。本店の自治体の公式ページで確かめる手順は都道府県税事務所・市区町村の法人設立届にまとめています。
税務署の側では、法人設立届出書のほかに青色申告の承認申請書も、ほとんどの会社が検討する手続きです。出すかどうかは会社の選択ですが、期限を過ぎると最初の事業年度は青色申告にできません。税務署向けの届出をまとめて確認するなら税務署への届出一覧が近道です。
なお、税務署の法人設立届出書には、2017年4月1日以後は登記事項証明書の添付が要りません。添付するのは定款等の写しだけなので、登記事項証明書の原本は年金事務所など本当に必要な手続きのために取っておけます。証明書の通数の数え方は必要書類と証明書の通数で確認できます。
出典・参考:事業を始めたとき・廃止したとき|シーンから調べる|東京都主税局(東京都主税局)
役員報酬を払い始めると、年金事務所と税務署の届出が増える

従業員を雇わない会社でも、役員報酬を払い始めた時点で届出が増えます。法人は事業主のみの場合を含めて社会保険の適用事業所になり、役員報酬も源泉徴収の対象になる給与等に含まれるためです。ひとり社長の会社にとっては、ここが会社設立後の手続きの最大の分かれ道です。
届出の5点セット(提出先・期限・様式・添付書類・提出方法)
| 書類 | 1 提出先 | 2 期限(起算日) | 3 様式の正式名称 | 4 添付書類 | 5 提出方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 事務センター、または管轄の年金事務所 | 適用事業所になった事実の発生から5日以内 | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 (2026年10月6日確認) |
法人(商業)登記簿謄本(コピー不可・提出日からさかのぼって90日以内の発行)、法人番号指定通知書等のコピー | 電子申請、郵送、窓口持参 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 給与支払事務所等の所在地の所轄税務署 | 開設の事実があった日から1か月以内 | 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 (2026年10月6日確認) |
なし | e-Tax、または書面を持参・送付 |
新規適用届と同時に、報酬を受ける役員一人ひとりについて被保険者資格取得届を出し、扶養する家族がいれば被扶養者(異動)届もあわせて出します。期限はいずれも事実発生から5日以内です。
一方で、役員報酬をまだ払わない社長1人の会社では、被保険者となる人がいないため、社会保険の新規適用の時期が後ろにずれることがあります。報酬をいつから払うかで判断が変わるので、管轄の年金事務所に相談してから動くのが確実です。届出の範囲での詳細は年金事務所への新規適用届で扱っています。
源泉所得税の納期の特例も検討する
給与の支給人員が常時10人未満なら、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を出すと、源泉所得税の納付を年2回にまとめられます。提出期限の定めはなく、原則として提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。
出典・参考:新規適用の手続き|日本年金機構(日本年金機構)
従業員を1人でも雇うと、労働基準監督署とハローワークが加わる

役員だけの会社には関係のなかった労働保険の届出が、最初の従業員を雇った日から必要になります。労働者を雇用すると法律上当然に保険関係が成立するため、会社設立後すぐに雇う会社と、半年後に雇う会社とでは、届出の時期がまるごと違ってきます。
届出の5点セット(提出先・期限・様式・添付書類・提出方法)
| 書類 | 1 提出先 | 2 期限(起算日) | 3 様式の正式名称 | 4 添付書類 | 5 提出方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 労働保険 保険関係成立届 | 所轄の労働基準監督署(一元適用事業の場合) | 保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内 | 労働保険 保険関係成立届(様式第1号) (2026年10月6日確認) |
監督署に確認(確認書類は監督署ごとに案内) | 窓口、e-Gov電子申請(gBizIDプライムでも可) |
| 雇用保険適用事業所設置届 | 所轄の公共職業安定所(ハローワーク) | 事業所を設置した日の翌日から起算して10日以内 | 雇用保険適用事業所設置届 (2026年10月6日確認) |
登記事項証明書など記載内容を確認できる書類、保険関係成立届の事業主控 | 窓口、電子申請 |
このほか、保険関係が成立した日の翌日から50日以内に「労働保険 概算・増加概算・確定保険料申告書」で概算保険料を申告・納付し、雇用保険の対象になる人については、資格取得日の属する月の翌月10日までに雇用保険被保険者資格取得届を出します。
窓口に行く順番にも決まりがあります。ハローワークの設置届には、労働基準監督署で受理された成立届の事業主控を添えるよう案内されているため、先に監督署、次にハローワークの順で回ります。農林漁業や建設業などの二元適用事業では、雇用保険の分の成立届をハローワークに出すなど扱いが分かれるので、該当する業種の会社は所轄の窓口で確認してください。
従業員を雇う会社は、社会保険の側でも従業員の被保険者資格取得届が加わります。手続きの詳細は労働基準監督署への労働保険の届出とハローワークへの雇用保険の届出、雇う前後の段取りは初めて従業員を雇うときの届出で確認できます。
出典・参考:厚生労働省:労働保険の成立手続(厚生労働省)
資本金と事業年度の決め方でも、出す届出と期限が変わる

届出の種類を左右する最後の要素が、設立時に決めた資本金の額と事業年度です。どちらも登記の段階で決まっているので、会社設立後にできるのは「その結果どの届出が必要になったか」を確認することだけです。
- 資本金1,000万円以上
- 基準期間のない事業年度でも消費税の納税義務が免除されない「新設法人」に当たります。法人設立届出書の該当欄に記入すれば、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」を別に出す必要はありません。
- 資本金1,000万円未満
- 新設法人には当たりませんが、それだけで免税と決まるわけではありません。特定期間の課税売上高や給与の額などで判定が変わるため、条件を当てはめて確認します。
- 第1期が短い会社
- 青色申告の承認申請書の期限は「設立の日以後3か月を経過した日」と「最初の事業年度終了の日」のいずれか早い日の前日までです。第1期が3か月より短いと、期限が事業年度末の前日まで早まります。
第1期が3か月に満たない会社については、第2期から青色申告にするための申請期限にも特例があり、設立の日以後3か月を経過した日と第2期終了の日のいずれか早い日の前日までに出せば足ります。決算月を設立月の直前に置いた会社は、ここを一度確認しておくと安心です。消費税の判定は消費税の免税期間、事業年度の考え方は決算月と事業年度で掘り下げています。
出典・参考:C1-19 青色申告書の承認の申請|国税庁(国税庁)
会社設立後の届出早見表:4つのタイプで出すもの・まだ出さないもの

ここまでの4つの質問の答えを、よくある4つのタイプに当てはめた早見表です。会社設立後の手続きをリストにするときは、自分のタイプの列で「○」の付いた届出だけを書き出してください。自治体の届出はどのタイプでも必要です。

Aのタイプでも、役員報酬を払い始めた月からはBの列に移ります。Cのタイプでも、従業員の入社が設立の3か月後なら、労働保険の届出はその入社日から数えます。早見表は一度作って終わりではなく、会社の状況が変わった日に見直すものだと考えてください。

ひとり社長の会社に絞った手順は、ひとり社長・従業員なしの手続きにまとめています。
家族に手伝ってもらう予定です。従業員を雇ったことになりますか。
同居の親族だけで働く場合など、労働保険の対象にならないケースがあります。会社設立後に家族へ給与を払う予定があるなら、労働基準監督署やハローワークで、届出が必要かどうかを先に確認してください。
役員報酬をゼロで始め、半年後に払い始めたらどうなりますか。
支払いを始める時点で、早見表のAからBの列に移ります。給与支払事務所等の開設届出書と社会保険の手続きを、その時点の事実をもとに確認し直します。会社設立後の届出は、設立の日だけでなく状況が変わった日にも発生します。
支店や営業所を設けたら、届出は増えますか。
法人設立届出書には支店や営業所を書く欄があり、別の自治体に事業所を置けば、その自治体への届出も必要になります。設立直後に複数の拠点を持つ会社は、拠点ごとに早見表を作ると漏れを防げます。
出典・参考:税務手続に関する主な書類の提出時期の一覧|国税庁(国税庁)
まとめ:早見表で仕分けたら、期限の短い順に並べ替える

会社設立後の届出は、株式会社か合同会社かではなく、雇用・役員報酬・資本金・本店の自治体という4つの事情で決まります。どの会社にも共通するのは税務署と自治体への届出で、役員報酬を払えば年金事務所と給与の届出が、従業員を雇えば労働基準監督署とハローワークの届出が加わります。

仕分けが済んだら、残った届出を期限の短い順に並べ、取りかかる順番を決めます。順番の組み方はやることリストと順番、期限の数え方は期限とスケジュール、窓口ごとの管轄の調べ方は届出先から探すで続けて確認できます。様式や期限は改正されることがあるため、提出前には各窓口の公式ページで最新の内容を確かめてください。
出典・参考:No.5100 新設法人の届出書類|国税庁(国税庁)
最後に、これを読んでいるあなたへ
一覧の長さに圧倒されたら、まず早見表で自分の会社に関係のない行を消してみてください。ひとり社長で報酬をまだ決めていない会社なら、会社設立後すぐに出すべき届出は思ったより少ないはずです。
逆に、設立と同時に人を雇う会社は、5日・10日という短い期限が重なります。自分のタイプが決まった今のうちに、役員報酬の開始時期と入社日をカレンダーに書き込み、迷う点は年金事務所や労働基準監督署、税理士・社会保険労務士に早めに確認しておきましょう。
この記事は、会社設立後の届出を進めるうえで役に立ちましたか?
押したときに送るのは記事の番号だけで、個人を特定する情報は送りません。期限や様式に迷う点は、所轄の窓口か税理士・社会保険労務士にもご確認ください。
この記事のタグ:#一人#一覧#労働保険#合同会社#役員報酬#従業員#株式会社#社会保険
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
掲載の順番は優劣やおすすめ度を表すものではありません。「会社設立後 手続き 届出」などで実際に検索して見つかり、内容と存在を確認したサイトを、このページの話題に近い順に並べています。
ひとり社長の会社が最低限出す届出を、税務と保険の2分野に分けて整理した行政書士の記事
int-office.com会社設立後に初めて従業員を雇う際の手続きを7項目に分けて税理士事務所が説明
会社設立の必要書類を株式会社・合同会社別に整理し、入手先と設立後の届出も説明している
- 会社設立後の提出書類と手続き一覧|小谷野税理士法人
- 法人登記後の税務・社会保険・労働保険の提出書類を、5日・10日・2か月などの期限とともに解説
- koyano-cpa.gr.jp
口座開設から税務署・年金事務所・労働保険の届出まで、設立後の手続きを期限別・提出先別に紹介
mirairelation.jp従業員雇用時の労災・雇用保険加入、社会保険、税務署への届出の流れを説明
初めて雇用したときの社会保険・労働保険の加入手続きと提出先・期限を解説
- 従業員10人未満の事業所が源泉所得税を年2回にまとめて納める特例の申請方法と注意点
- www.hitodeki.com
被扶養者の認定要件と届出の提出先・電子申請・郵送・窓口での提出方法を案内
会社設立の前と後に必要な手続きを順にリスト化し、必要書類と初期費用の目安を説明している
No.11あわせて検索されているサイト:一人社長でも社会保険の加入は義務?会社設立した時の手続きと必要書類|社労士クラウド(役員報酬がある一人社長の社会保険加入義務と、設立後5日以内の手続き・必要書類を解説)【法人】一人社長でも社会保険の加入は必要!手続きや未加入についても解説(一人社長の会社の社会保険手続きと未加入時の扱いを説明している)【図解】会社設立後の手続き紹介!必要な書類を作成しよう【税理士監修】|ミツモア(税務署・自治体・年金事務所への設立後の届出と社会保険加入を図解で紹介している)新規適用の手続き|日本年金機構(法人事業所が厚生年金保険・健康保険の新規適用届を事実発生から5日以内に出す手続きの案内)【会社設立後の提出書類】④源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の書き方(記入例あり)|リーガルメディア(常時10人未満が条件の納期の特例について、申請書の書き方と記入例、提出期限の扱いを解説)合同会社設立の流れは?必要な書類や設立後にやることを解説!|Taxpedia(合同会社の設立手順と、登記後に税務署・年金事務所で行う申請、メリットと注意点を解説)会社(法人)設立後に必要な社会保険【Part2】~実際の手続きと注意点~|仙台市雇用労働相談センター(法人設立後に年金事務所・労基署・ハローワークで行う加入手続きと、未加入時の扱いを説明)源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書とは|会社設立東京スマイル(年2回納付の特例の対象となる事業所と、1回あたりの納付額が増える点などの注意事項を説明)




