会社設立後の手続き一覧|登記のあとに出す届出を5つの窓口と期限で整理する
この記事の窓口順(目次)8項目
この記事は、こんな方に向けて書いています
設立登記の申請を終え、法務局から「登記が完了しました」と連絡を受けた(またはもうすぐ受ける)方に向けた記事です。株式会社か合同会社か、社長ひとりの会社か、設立と同時に人を雇う会社かは問いません。
会社設立後の手続きは数が多く、提出先もばらばらです。この記事では個々の書類の書き方には深入りせず、どの窓口に・何を・いつまでに出すのかという全体像を一枚の地図にまとめます。細かな記入方法は、窓口ごとの記事へ順に案内します。
会社設立後の手続きは「設立の日」を起点に数え始める

会社設立後の手続きでいちばん多いつまずきは、書類の書き方よりも「いつから数えるか」の取り違えです。税務署の届出に書かれている「設立の日」は、原則として法務局が設立登記の申請を受け付けた日を指します。登記が完了した日や、登記事項証明書を取った日ではありません。
たとえば4月1日に申請し、登記の完了が4月10日だった会社では、期限の計算は4月1日から始まります。完了の連絡を待っているあいだにも、時計はすでに進んでいるということです。なお、2026年2月2日からは、一定の要件のもとで行政機関の休日を設立の日として登記できる特例も始まっています。この特例を使った会社は、申請日ではなく指定した休日が設立の日になります。
- 設立の日
- 原則は登記を申請した日。登記簿の「会社成立の年月日」に記録される日付で、税務署の期限はここから数えます。
- 登記完了日
- 法務局での審査が終わり、登記簿に記録された日。登記事項証明書や印鑑証明書が取れるようになる日です。
- 事業開始日
- 実際に事業を始めた日。都道府県や市区町村の届出では、この日を起点にする自治体があります。
この記事では、言葉を次の意味で使います。「社会保険」は健康保険と厚生年金保険のこと、「労働保険」は労災保険と雇用保険のことです。会社設立後の届出では窓口も期限もこの2つで分かれるので、混ぜずに読み進めてください。
出典・参考:商業・法人登記の申請書様式:法務局(法務省・法務局)
届出を出す窓口は5つ、証明書を取りに行く法務局を合わせると6か所

会社設立後に届出を出す相手は、大きく5つの窓口に分かれます。ここに、届出に添える証明書を取りに行く法務局を加えると、回る先は最大で6か所です。全部に一度で行く必要はなく、会社の形によっては行かなくてよい窓口もあります。
会社設立後の窓口と、そこで扱う主な手続き
| 窓口 | 主な届出・手続き | 必要になる会社 |
|---|---|---|
| 法務局 | 登記事項証明書・印鑑証明書の取得(届出ではなく取得の手続き) | すべての会社 |
| 税務署 | 法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書など | すべての会社 |
| 都道府県税事務所・市区町村 | 法人設立届(名称・期限・添付書類は自治体ごとに違う) | すべての会社 |
| 年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届、被保険者資格取得届など | 役員報酬を払う会社・従業員を雇う会社 |
| 労働基準監督署・ハローワーク | 労働保険の保険関係成立届、雇用保険適用事業所設置届など | 従業員を雇う会社 |
表の右の列を見ると分かるとおり、労働基準監督署とハローワークは、役員だけで従業員を雇わない会社なら当面は関係がありません。反対に、税務署と自治体への届出は、どの会社でも会社設立後に必ず通る手続きです。
法務局は届出の窓口ではありませんが、会社設立後に最初に足を運ぶ場所になりがちです。年金事務所の新規適用届には登記簿謄本の原本が要り、法人口座の開設でも証明書を求められることが多いため、取りに行く前に「どの手続きに何通使うか」を数えておくと、二度三度と通わずに済みます。

出典・参考:No.5100 新設法人の届出書類|国税庁(国税庁)
税務署に出す届出は「全社共通」と「該当すれば出す」に分けて考える

税務署向けの会社設立後の手続きは、どの会社も出す法人設立届出書と、会社の選択や状況によって出す届出に分けると整理しやすくなります。前者は出し忘れようのない基本の届出、後者は「出さないと不利になる」ものが混ざっているのが特徴です。
届出の5点セット(提出先・期限・様式・添付書類・提出方法)
| 書類 | 1 提出先 | 2 期限(起算日) | 3 様式の正式名称 | 4 添付書類 | 5 提出方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 納税地の所轄税務署 | 設立の日以後2か月以内(設立の日を含めて数える) | 法人設立届出書 (2026年10月6日確認) |
定款等の写し(登記事項証明書の添付は2017年4月から不要) | e-Tax、または書面を持参・送付 |
| 青色申告の承認申請書 | 納税地の所轄税務署 | 設立の日以後3か月を経過した日と、最初の事業年度終了の日の、いずれか早い日の前日まで | 青色申告の承認申請書 (2026年10月6日確認) |
なし | e-Tax、または書面を持参・送付 |
青色申告の承認申請書は、出さなくても罰則はありません。ただし出さなければ最初の事業年度から青色申告の特典を使えず、期限を1日でも過ぎると、その事業年度は取り戻せません。最初の事業年度が短い会社ほど期限が早く来るので、決算月とあわせて確認してください。
- 役員報酬や給与を払い始めるなら、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(開設の事実があった日から1か月以内)
- 給与を受ける人が常時10人未満なら、源泉所得税を年2回にまとめる納期の特例の承認に関する申請書(期限の定めなし)
- 資本金1,000万円以上で設立した会社などは、消費税に関する届出の要否を確認
税務署向けの届出だけを一覧にして期限順に並べた記事は、税務署への届出一覧にまとめています。
出典・参考:C1-4 内国普通法人等の設立の届出|国税庁(国税庁)
都道府県税事務所と市区町村は、名前も期限も自治体ごとに違う

税務署に法人設立届出書を出しても、それで地方税の届出が済むわけではありません。法人住民税と法人事業税のために、都道府県税事務所と市区町村にも会社設立後の届出が必要です。厄介なのは、書類の名前、期限、起算日、添付書類が自治体ごとに違うことです。
自治体による違いの例(2026年10月6日確認)
| 自治体 | 書類の名称 | 期限 |
|---|---|---|
| 東京都 | 法人設立・設置届出書 | 事業を開始した日から15日以内 |
| 大阪府 | 法人設立等申告書 | 法人設立の日などから2か月以内 |
| 名古屋市 | 法人の設立・事務所事業所新設廃止申告書 | 設立などの日から30日以内 |
このように、同じ目的の届出でも「15日」と「2か月」では準備の進め方がまったく変わります。全国一律の期限だと思い込まず、本店のある都道府県と市区町村の公式ページで、自分の会社に当てはまる期限を確かめてください。調べ方は「(自治体名) 法人設立 届出」で検索し、主税局や税務課のページを開くのが早道です。
eLTAXで出す方法もある
多くの自治体は、地方税の電子申告システムであるeLTAXでの提出に対応しています。税務署向けのe-Taxと組み合わせると、窓口を回らずに済む手続きが増えます。
自治体ごとの違いを比べながら手順を追う記事は、都道府県税事務所・市区町村の法人設立届にあります。
出典・参考:事業を始めたとき・廃止したとき|シーンから調べる|東京都主税局(東京都主税局)
年金事務所の社会保険は、社長ひとりの会社でも対象になる

法人は、事業主のみの会社であっても健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。会社設立後の手続きのなかでも、新規適用届は「事実発生から5日以内」と期限が最も短い部類です。何から手をつけるか迷ったら、ここを最初に確認すると安全です。
届出の5点セット(提出先・期限・様式・添付書類・提出方法)
| 書類 | 1 提出先 | 2 期限(起算日) | 3 様式の正式名称 | 4 添付書類 | 5 提出方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 事務センター、または管轄の年金事務所 | 適用事業所になった事実の発生から5日以内 | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 (2026年10月6日確認) |
法人(商業)登記簿謄本(コピー不可・提出日からさかのぼって90日以内に発行されたもの)、法人番号指定通知書等のコピー | 電子申請、郵送、窓口持参 |
新規適用届と同時に、役員や従業員一人ひとりの被保険者資格取得届を出します。家族を健康保険の扶養に入れる人がいれば、被扶養者(異動)届もあわせて提出します。いずれも期限は事実発生から5日以内です。
ただし、社長ひとりの会社で役員報酬をまだ決めていない場合は、被保険者となる人がいないため、適用の時期が後ろにずれることがあります。役員報酬の額や支払いの開始時期と一緒に考える必要があるので、判断に迷うときは管轄の年金事務所に確認してください。
保険料の計算や加入条件の細かな判定はこのサイトでは扱わず、届出の範囲に絞って年金事務所への新規適用届で解説しています。
出典・参考:新規適用の手続き|日本年金機構(日本年金機構)
労働基準監督署とハローワークは、従業員を雇ったときに初めて関わる

労働保険の手続きは、会社設立後に最初の従業員を雇った日から期限が数え始められます。役員だけの会社なら、雇うまでは届出の必要はありません。設立と同時にパートやアルバイトを雇う会社では、社会保険と並んで早めに動く必要があります。
労働基準監督署に保険関係成立届
保険関係が成立した日(労働者を雇った日など)の翌日から10日以内。受理された事業主控を受け取ります。
概算保険料の申告と納付
保険関係が成立した日の翌日から50日以内。申告と納付の両方の期限です。
ハローワークに雇用保険適用事業所設置届
設置の日の翌日から10日以内。成立届の控えを持参します。
ハローワークに雇用保険被保険者資格取得届
雇い入れた日の属する月の翌月10日まで。
順番に意味があり、ハローワークの設置届には労働基準監督署で受理された成立届の控えが必要になります。逆の順で窓口に行くと二度手間になりやすいので注意してください。手続きの詳細は労働基準監督署への労働保険の届出と、ハローワークへの雇用保険の届出に分けて解説しています。

出典・参考:厚生労働省:労働保険の成立手続(厚生労働省)
届出のほかに、設立直後に決めておくこと

会社設立後の手続きは、役所に出す届出だけではありません。届出に書く内容や、届出のあとの実務を左右する決めごとが並行して発生します。代表的なものを、届出との関係とあわせて挙げます。
- 法人口座の開設
- 金融機関の審査に登記事項証明書や印鑑証明書が求められます。法務局で証明書を取るときに、口座開設の分も含めて通数を決めておくと効率的です。
- 役員報酬の決定
- 役員報酬は原則として事業年度の開始から3か月以内に改定などをしないと、損金に算入できる「定期同額給与」の扱いから外れるおそれがあります。社会保険と給与支払事務所等の届出の時期にも関わります。
- 法人番号の確認
- 設立登記のあと、国税庁から法人番号が通知され、法人番号公表サイトでも確認できます。社会保険の新規適用届などで記入を求められます。
- e-Tax・eLTAXの利用開始
- 電子で届出を出すなら、利用開始の手続きと電子証明書などの準備が先に必要です。
- 郵便物の受け取り
- 税務署や年金事務所からの書類は本店に届きます。表札やポストの表示を整え、見落とさない仕組みを作っておきます。
このうち法人口座、資本金の使い方、役員報酬、決算月はお金の流れとして一続きなので、それぞれの記事を相互に行き来しながら読めるようにしています。
- 会社設立後の届出は、登記が完了する前に出してもよいですか。
- 法人設立届出書の法人番号欄は、提出日時点で指定を受けていなければ記載不要とされています。ただし社会保険の新規適用届のように登記簿謄本の原本を添える届出は、登記が完了して証明書が取れるまで出せません。届出ごとに、添付書類がそろう時期を基準に考えると無理がありません。
- 会社設立後の手続きを一度にまとめて済ませる方法はありますか。
- 国税庁の案内では、法人設立ワンストップサービスの対象が設立後の手続きにも広がっています。電子で出せる届出が増えているので、窓口を回る前に、どこまでオンラインで済むかを確認しておくと移動の手間を減らせます。
- 会社設立後の届出を自分で出すか、専門家に頼むかはどう決めればよいですか。
- 税務の書類作成は税理士、社会保険・労働保険の書類作成と提出代行は社会保険労務士の業務です。従業員を雇う予定があり、手続きの数が多い会社ほど、どこからを依頼するかを早めに決めておくと期限に追われずに済みます。
出典・参考:No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)|国税庁(国税庁)
まとめ:会社設立後の手続きを、自分の会社の一覧に置き換える

会社設立後の手続きは、起点となる「設立の日」をそろえ、5つの窓口に分けて考えると見通しがよくなります。税務署と自治体への届出はすべての会社に、年金事務所は役員報酬を払う会社に、労働基準監督署とハローワークは従業員を雇う会社に関わります。

- 設立の日(原則は登記申請日)をカレンダーに書き込む
- 従業員を雇うか、役員報酬をいつから払うかを決める
- 必要な窓口だけを残し、期限の短い順に並べる
- 法務局で証明書を必要な通数だけ取る
- 電子申請を使う手続きは、利用開始の準備を先に済ませる
期限をまとめて時系列で確認したいときは期限とスケジュールへ、窓口の側から届出を引きたいときは届出先から探すへ進んでください。様式や期限は改正されることがあるため、提出の前には必ず各窓口の公式ページで最新の内容を確かめましょう。
出典・参考:税務手続に関する主な書類の提出時期の一覧|国税庁(国税庁)
最後に、これを読んでいるあなたへ
登記が終わった直後は、やることの多さに圧倒されがちです。それでも、窓口ごとに分けて期限の短い順に並べれば、今日やるべきことは数件に絞れます。
会社設立後の届出は、一つひとつは決して難しい手続きではありません。この一覧を手元に置き、自分の会社に関係のない窓口を消していくところから始めてみてください。判断に迷う点は、所管の窓口や税理士・社会保険労務士に早めに相談するのが近道です。
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