初めて従業員を雇ったら出す届出の一覧|労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所・税務署を雇い入れの日から期限順に
この記事の窓口順(目次)8項目
この記事は、こんな方に向けて書いています
これまで社長ひとり、または役員だけで会社を回してきて、初めて従業員を迎えることになった方に向けた記事です。採用が決まったものの、どの窓口に何をいつまでに出すのかを一覧で把握できていない方を想定しています。
会社設立後の届出のうち、従業員の雇い入れで新しく発生するものを、雇い入れの日から期限の早い順に並べました。内容は厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構・国税庁の案内(いずれも2026年10月6日確認)にもとづいています。個々の書類の書き方や添付書類の細部は、窓口ごとの記事で詳しく扱っています。
初めて従業員を雇うと、会社設立後の届出が4つの窓口に増える

はじめに言葉をそろえておきます。この記事でいう労働保険は労災保険と雇用保険をまとめた呼び方、社会保険は健康保険と厚生年金保険をまとめた呼び方です。窓口も書類も別々なので、混ぜずに読み進めてください。
会社設立後の最初の数週間で出す届出は、主に税務署・自治体・年金事務所に向けたものでした。従業員の雇い入れは、そこに労働基準監督署とハローワークという新しい窓口を加える出来事です。設立直後の手続きを終えて一息ついたころに採用が決まる会社も多いので、もう一度、窓口の地図を広げ直すつもりで読んでください。
会社設立後、役員だけで運営している間は、労働保険の手続きもハローワークの手続きも発生しません。初めて労働者を雇った日を境に、次の窓口で届出が必要になります。
- 労働基準監督署
- 労働保険の保険関係成立届と、概算保険料申告書(一元適用事業の場合)。
- ハローワーク(公共職業安定所)
- 雇用保険適用事業所設置届と、雇用保険被保険者資格取得届。雇用保険に入る人を雇った場合です。
- 年金事務所(事務センター)
- 健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届。扶養家族がいれば被扶養者(異動)届も。
- 税務署
- 給与支払事務所等の開設届出書。役員報酬の支払いを始めたときにすでに出していれば、改めて出す場面は限られます。
どの窓口の届出も、雇う人の働き方によって要否が変わる点が共通しています。所定労働時間、契約期間、賃金の額を雇用契約で先に決めておくと、どの届出が自社に当てはまるかを迷わずに判断できます。雇い入れの準備として会社側で整えておくことは、同じカテゴリーの雇い入れの準備の記事にまとめています。
このほか、従業員の住民税を給与から差し引いて納める手続きが市区町村との間で関係してきます。住民税の扱いは住民税の特別徴収で整理しています。
出典・参考:厚生労働省:労働保険の成立手続(厚生労働省)
期限の起点は雇い入れの日。設立の日から数える届出とは別に管理する

会社設立後の税務署の届出の多くは「設立の日」から期限を数えます。設立の日は原則として法務局が登記申請を受け付けた日で、2026年2月2日からは休日を設立の日に指定できる特例も始まっています。けれども従業員の雇い入れで増える届出は、設立の日ではなく、雇い入れの日(またはその人が被保険者になった日など)から数えます。

いちばん早く来るのは、年金事務所に出す社会保険の資格取得届の「事実発生から5日以内」です。次に労働基準監督署とハローワークの10日が重なります。雇い入れの日が決まったら、まず5日目と10日目をカレンダーに書き込むところから始めると、優先順位を間違えません。会社設立後の税務署の届出と期限が重なる時期に採用する場合は、設立の日から数える期限と、雇い入れの日から数える期限を、別の色で書き分けておくと混乱しません。窓口ごとの期限の全体像は期限とスケジュールの一覧でも確認できます。
出典・参考:労働者を雇用したとき(労働保険)ー兵庫労働局(兵庫労働局)
労働基準監督署:保険関係成立届と概算保険料申告書

労働者を1人でも雇うと、労働保険の保険関係が法律上当然に成立します。一元適用事業(多くの業種がこちら)の会社は、労働基準監督署に次の2つを出します。
届出の5点セット(提出先・期限・様式・添付書類・提出方法)
| 書類 | 1 提出先 | 2 期限(起算日) | 3 様式の正式名称 | 4 添付書類 | 5 提出方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 保険関係成立届 | 所轄の労働基準監督署(一元適用事業) | 保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内 | 労働保険 保険関係成立届(様式第1号) (2026年10月6日確認) |
一律の定めの記載なし。確認書類は所轄の労働基準監督署に確認 | 窓口持参、e-Gov電子申請 |
| 概算保険料申告書 | 所轄の労働基準監督署、都道府県労働局、日本銀行(代理店・歳入代理店を含む)のいずれか | 保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内(申告と納付) | 労働保険 概算・増加概算・確定保険料申告書(様式第6号) (2026年10月6日確認) |
申告書に付いている納付書と納付額 | 窓口持参、e-Gov電子申請 |
会社設立後に初めて労働基準監督署へ行く人は、窓口で「初めて労働者を雇ったので労働保険の成立の手続きをしたい」と伝えれば案内してもらえます。概算保険料申告書は成立届と同時に出せるので、賃金総額の見込みを計算して持参すれば、監督署に行くのは1回で済みます。
成立届の事業主控えは、このあとハローワークで使います。建設業や農林漁業などの二元適用事業は出し先が分かれるので、労働保険と労働基準監督署の手続きで区分を確かめてください。
出典・参考:労働者を雇用したとき(労働保険)ー兵庫労働局(兵庫労働局)
ハローワーク:雇用保険適用事業所設置届と資格取得届

雇った人が雇用保険の被保険者になる場合は、ハローワークにも届出をします。厚生労働省の案内では、成立届の手続きを行った後に、この2つの手続きを行う順番です。
届出の5点セット(提出先・期限・様式・添付書類・提出方法)
| 書類 | 1 提出先 | 2 期限(起算日) | 3 様式の正式名称 | 4 添付書類 | 5 提出方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 雇用保険適用事業所設置届 | 所轄の公共職業安定所(ハローワーク) | 事業所を設置した日の翌日から起算して10日以内 | 雇用保険適用事業所設置届 (2026年10月6日確認) |
登記事項証明書その他記載内容を確認できる書類。成立届の事業主控え、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿等を求める所轄もある | 窓口持参、電子申請 |
| 雇用保険被保険者資格取得届 | 所轄の公共職業安定所(ハローワーク) | 資格取得年月日の属する月の翌月10日まで | 雇用保険被保険者資格取得届 (2026年10月6日確認) |
賃金台帳、労働者名簿、出勤簿その他を持参する場合あり | 窓口持参、電子申請 |
雇用保険法第6条は、1週間の所定労働時間が20時間未満の人や、継続して31日以上雇用される見込みがない人には原則として適用しないと定めています(例外あり)。短時間のアルバイトだけを雇う場合はハローワークの届出が要らないこともあるので、雇用契約の内容で判断してください。ハローワークでは、事業所が実在することと、雇用の実態を示す書類を確認されます。雇い入れの日から労働者名簿と出勤簿をつけ始めておくと、窓口でのやりとりが短く済みます。窓口の回り方は雇用保険とハローワークの手続きで詳しく扱っています。
出典・参考:厚生労働省:労働保険の成立手続(厚生労働省)
年金事務所:被保険者資格取得届(扶養家族がいれば被扶養者届も)

会社がすでに健康保険・厚生年金保険の適用事業所になっていれば、従業員を雇ったときに出すのは、その人の資格取得届です。社会保険の加入条件の細かい判定はこのサイトでは扱わず、届出の5点だけを示します。
届出の5点セット(提出先・期限・様式・添付書類・提出方法)
| 書類 | 1 提出先 | 2 期限(起算日) | 3 様式の正式名称 | 4 添付書類 | 5 提出方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 被保険者資格取得届 | 事務センターまたは管轄の年金事務所 | 事実発生から5日以内 | 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険 70歳以上被用者該当届 (2026年10月6日確認) |
原則として不要(例外あり) | 電子申請、電子媒体(CDまたはDVD)、郵送、窓口持参 |
| 被扶養者(異動)届 | 事務センターまたは管轄の年金事務所(被保険者が事業主を経由) | 事実発生から5日以内 | 健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届) (2026年10月6日確認) |
続柄確認と収入要件確認の書類(条件により省略可) | 電子申請、郵送、窓口持参 |
資格取得届は、会社設立後に社長自身の分を出したときと同じ様式です。社長の分の控えが残っていれば、記入例として使えます。雇った人のマイナンバーまたは基礎年金番号が書かれていないと届書が返戻されると年金機構は案内しているので、雇い入れの日までに本人から確認しておきましょう。
役員報酬を払っておらず、会社がまだ社会保険の適用事業所になっていない場合は、資格取得届の前に新規適用届が必要になることがあります。日本年金機構の書類一覧では、無報酬の役員しかいない法人事業所は適用事業所の要件を満たさないと注記されています。新規適用の手続きは社会保険の新規適用届、添付書類は社会保険の必要書類と提出方法で確認してください。
パートやアルバイトとして雇う人が社会保険に入るかどうかの要件は、会計事務所SoVaの「アルバイト・パートの社会保険の加入要件」で詳しく説明されています。
出典・参考:就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き|日本年金機構(日本年金機構)
税務署:給与支払事務所等の開設届出書と、源泉所得税の準備

従業員に給与を払うと、会社は源泉所得税を差し引いて納める立場になります。税務署に関係するのは次の届出です。
届出の5点セット(提出先・期限・様式・添付書類・提出方法)
| 書類 | 1 提出先 | 2 期限(起算日) | 3 様式の正式名称 | 4 添付書類 | 5 提出方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 給与支払事務所等の所在地の所轄税務署 | 開設の事実があった日から1か月以内 | 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 (2026年10月6日確認) |
なし(国税庁の手続案内に添付書類の記載なし) | e-Tax、書面の持参または送付 |
会社設立後に役員報酬をまだ払っていない会社では、従業員への最初の給与の支払いが、給与支払事務所等の開設にあたることがあります。その場合は、開設の事実があった日から1か月以内に届出書を出します。
この届出書は、給与の支払事務を扱う事務所を開設したことを知らせるものです。役員報酬の支払いを始めたときにすでに出している会社は、同じ事務所で従業員の給与を払う限り、多くの場合は出し直す必要がありません。扱いに迷う場合は所轄の税務署に確認してください。書き方は給与支払事務所等の開設届出書の書き方で扱っています。
従業員(役員を含む)が常時10人未満の会社は、源泉所得税の納付を年2回にまとめる納期の特例を申請できます。国税庁の案内では、申請書に提出期限はなく、原則として提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。初めての給与の支払いに合わせたいなら、源泉所得税の納期の特例で時期を確認しておきましょう。
出典・参考:A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁(国税庁)
一覧表:初めて従業員を雇ったときの届出(窓口・期限・正式名称)

ここまでの届出を1枚にまとめます。会社設立後の手続きの管理表として、自社の雇い入れの日を当てはめて使ってください。

- 会社設立後、パートを1人だけ雇う場合も全部の届出が必要ですか。
- 労働保険の成立届は労働者を雇えば必要になりますが、雇用保険や社会保険の届出は、その人の働き方によって要否が分かれます。会社設立後に雇う人の所定労働時間や契約期間を決めてから、どの届出が当てはまるかを確かめてください。
- 試用期間中でも届出は出しますか。
- 試用期間かどうかで届出の期限が延びるわけではありません。雇用保険や社会保険の対象になる働き方であれば、雇い入れの時点から手続きを進めます。
- 会社設立後すぐに複数人を同時に雇う場合はどうなりますか。
- 労働保険の成立届と雇用保険の設置届は会社として1回だけです。資格取得届は、雇用保険も社会保険も人数分を出します。
窓口を回る順番は、期限の短い年金事務所を先に、次に労働基準監督署、その控えを持ってハローワーク、という流れが組みやすいはずです。e-Govの電子申請を使えば、労働保険の成立届と雇用保険・社会保険の手続きをまとめて出すグループ申請も利用できます。
出典・参考:労働保険適用徴収手続 | e-Gov電子申請(デジタル庁)
まとめ:雇い入れの日が決まったら、5日と10日を最優先にする

会社設立後に初めて従業員を雇うと、労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所・税務署の4つの窓口で届出が発生します。期限はどれも雇い入れの日など、人を雇った事実から数え、設立の日から数える税務署の届出とは別に管理する必要があります。
- 最初の期限は社会保険の資格取得届の5日以内
- 労働保険の成立届と雇用保険の設置届は翌日から10日以内。成立届が先
- 雇用保険に入らない短時間の人だけなら、ハローワークの届出は要らない場合がある
- 給与支払事務所等の開設届出書は、すでに出していれば改めて出す場面は限られる
会社設立後の手続きの管理表に、この記事の一覧を「雇い入れ」という見出しで追加しておくと、2人目以降の採用のときにも、どの届出が会社単位で済んでいて、どの届出を人ごとに出すのかがすぐ分かります。
2人目以降の採用では、会社単位の届出(労働保険の成立届、雇用保険の設置届、給与支払事務所等の開設届出書)は出し直さず、人ごとの資格取得届が中心になります。
様式や期限は改正されることがあります。届出を出す前に、各窓口の最新の案内を確認してください。書類の作成や提出を任せたい場合、労働保険・社会保険は社会保険労務士、税務署の書類は税理士が相談先です。
出典・参考:労働保険とはどのような保険ですか。また、労働保険に入るにはどうしたらよいのですか|厚生労働省(厚生労働省)
最後に、これを読んでいるあなたへ
初めての採用は、会社にとって大きな節目です。その一方で、届出が一度に4つの窓口に増えるため、何から手をつけるか迷って時間を使ってしまいがちです。
雇い入れの日が決まったら、この記事の一覧表に日付を書き込み、5日目と10日目に印をつけてください。会社設立後の手続きは、期限の短いものから順に片づけていけば、必ず追いつけます。
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