合同会社の会社設立後にやること|必要な届出・不要な届出と、代表社員の報酬で変わる手続き
この記事の窓口順(目次)8項目
この記事は、こんな方に向けて書いています
合同会社を設立し、登記が完了した(またはもうすぐ完了する)方に向けた記事です。会社設立後の手続きを調べると株式会社を前提にした説明が多く、「取締役」「株主」と書かれた部分を合同会社ではどう読めばよいのか、引っかかっている方を想定しています。
結論から言うと、合同会社でも会社設立後に出す届出の種類は株式会社とほとんど変わりません。この記事では、合同会社が必ず出す届出、代表社員の報酬を払うと加わる届出、従業員を雇わなければ不要な届出を順に分け、合同会社ならではの読み替えのポイントを添えていきます。
01合同会社の会社設立後の届出は、株式会社とほぼ同じと考えてよい

合同会社は、設立の費用や組織の作りが株式会社と違うため、会社設立後の手続きも別物だと思われがちです。けれども、税務署に出す法人設立届出書は株式会社や合同会社などの普通法人を対象にした届出ですし、日本年金機構も「株式会社などの法人の事業所(事業主のみの場合を含む)」を厚生年金保険の適用事業所としています。会社設立後に出す届出の種類は、合同会社でもほとんど同じです。
違いが出るのは、届出の中身に書く言葉や、添付書類の呼び方です。合同会社には株主も取締役もいません。出資者は「社員」、会社の業務を行う社員は「業務執行社員」、会社を代表する社員は「代表社員」と呼ばれます。株式会社を前提にした説明を読むときは、この言葉を置き換えながら読み進めるとつまずきません。
もう一つの違いは、会社設立後の手続きの前提になる書類です。株式会社では公証人の認証を受けた定款を使いますが、合同会社の定款は認証を受けていません。それでも税務署や自治体の手続きで求められるのは「定款の写し」なので、合同会社の定款をそのまま写して使えます。
期限の起点もそろえておきます。税務署の届出でいう「設立の日」は、原則として法務局が設立登記の申請を受け付けた日です。登記が完了した日ではありません。2026年2月2日からは行政機関の休日を設立の日として登記できる特例もあり、その場合は指定した休日が設立の日になります。
- 社会保険
- 健康保険と厚生年金保険の2つ。窓口は年金事務所(事務センター)です。
- 労働保険
- 労災保険と雇用保険の2つ。窓口は労働基準監督署とハローワークです。
出典・参考:適用事業所と被保険者|日本年金機構(日本年金機構)
02合同会社が必ず出す届出:法人設立届出書と自治体の届出

合同会社が会社設立後に必ず出すのは、税務署の法人設立届出書と、都道府県税事務所・市区町村への法人設立の届出です。社員が1人だけの合同会社でも、従業員がいない合同会社でも省けません。
届出の5点セット(提出先・期限・様式・添付書類・提出方法)
| 書類 | 1 提出先 | 2 期限(起算日) | 3 様式の正式名称 | 4 添付書類 | 5 提出方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 納税地の所轄税務署 | 設立の日以後2か月以内(設立の日を含めて数える) | 法人設立届出書 (2026年10月6日確認) |
定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるものの写し | e-Tax、または書面を持参・送付(1部) |
添付するのは定款等の写しです。合同会社の定款は公証人の認証を受けていませんが、作成した定款の写しを添えれば足ります。登記事項証明書の添付は、2017年4月1日以後は法人設立届出書について不要になっています。
自治体の届出は、名称も期限も添付書類も自治体ごとに違います。たとえば大阪市の「法人設立・事務所等開設申告書」は、登記事項証明書、定款等に加えて「株主(社員)または出資者の名簿」を添付書類に挙げています。合同会社なら社員の名簿を用意する、という読み替えです。東京都は事業を開始した日から15日以内、名古屋市は設立などの日から30日以内と期限も違うため、本店のある自治体のページで確かめてください(2026年10月6日確認)。
自治体ごとの違いを比べたいときは、都道府県税事務所・市区町村の法人設立届を参照してください。
税務署と自治体の手続きは、どちらも会社設立後に避けて通れないものです。記入する項目は本店所在地、代表者、事業年度、資本金の額、事業の目的など共通する部分が多いため、同じ日に続けて作ると転記の誤りを減らせます。電子で出す場合は、税務署向けがe-Tax、自治体向けがeLTAXという別々のシステムになる点に注意してください。
出典・参考:大阪市:法人設立、異動等の届出 (…>税>各種証明書・申請書・申告書等ダウンロード)(大阪市)
03代表社員・業務執行社員の報酬は、税務上「役員給与」になる

合同会社には取締役がいないため、「役員報酬」の説明が自分に当てはまるのか迷う方がいます。国税庁のタックスアンサーNo.5200「役員の範囲」は、使用人以外の者でその法人の経営に従事しているものの例として、合同会社の業務執行社員を挙げています。代表社員や業務執行社員に払う報酬は、税務上は役員給与として扱われるということです。
したがって、合同会社が業務執行社員への報酬を払い始めるときは、株式会社が取締役に役員報酬を払うときと同じく、税務署へ給与支払事務所等の開設届出書を出します。報酬を払わず、従業員もいない合同会社では、この届出は払い始めるまで不要です。
社員が複数いる合同会社では、業務執行社員とそうでない社員が分かれていることがあります。税務上の役員にあたるかどうかは、No.5200の考え方に沿って判断します。誰に報酬を払うのかを決めてから届出を作ると、記入の迷いが減ります。
届出の5点セット(提出先・期限・様式・添付書類・提出方法)
| 書類 | 1 提出先 | 2 期限(起算日) | 3 様式の正式名称 | 4 添付書類 | 5 提出方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 | 給与支払事務所等の所在地の所轄税務署 | 開設の事実があった日から1か月以内 | 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 (2026年10月6日確認) |
なし(案内に添付書類の記載なし) | e-Tax、または書面を持参・送付 |
役員給与には、定期同額給与などの決まりがあります。報酬の額をいつ決め、いつから払うかは、役員報酬の決め方といつから払うかで確認してください。
源泉所得税の納付を年2回にまとめる「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」も、給与の支給人員が常時10人未満であれば合同会社で使えます。期限の定めはなく、原則として提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。報酬を払い始める前の手続きとして、開設届出書と一緒に出すかどうかを決めておくとよいでしょう。
出典・参考:No.5200 役員の範囲|国税庁(国税庁)
04社員が報酬を受け取るなら、年金事務所への届出が加わる

社会保険の扱いも、合同会社と株式会社で変わりません。法人の事業所は事業主のみの場合を含めて適用事業所になるため、代表社員ひとりの合同会社でも、会社設立後の手続きとして年金事務所への届出を考える必要があります。
届出の5点セット(提出先・期限・様式・添付書類・提出方法)
| 書類 | 1 提出先 | 2 期限(起算日) | 3 様式の正式名称 | 4 添付書類 | 5 提出方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 事務センター、または管轄の年金事務所 | 適用事業所となった事実の発生から5日以内 | 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 (2026年10月6日確認) |
法人(商業)登記簿謄本(コピー不可・提出日からさかのぼって90日以内に発行)、法人番号指定通知書等のコピー | 電子申請、郵送、窓口持参 |
新規適用届と同時に、報酬を受ける社員の被保険者資格取得届を出します。日本年金機構は被保険者を「労務の対償として給与や賃金を受ける使用関係」にある人と説明しているため、報酬の支払いがいつ始まるかで届出の時期も変わります。報酬を払わない期間がある合同会社は、管轄の年金事務所に時期を確認してください。
加入条件の細かな判定や保険料の計算は、このサイトでは扱いません。届出の手順は年金事務所への新規適用届で説明しています。
Q. 社員が2人いる合同会社で、報酬を受けるのが代表社員だけの場合はどうなりますか。
A. 被保険者資格取得届を出すのは、報酬を受けて被保険者になる人の分です。報酬を受けない社員の扱いは個別の事情で変わるため、管轄の年金事務所に確認してください。
Q. 新規適用届は、合同会社の登記が完了する前に出せますか。
A. 添付書類に法人(商業)登記簿謄本の原本が必要なので、登記が完了して証明書が取れるようになってからの手続きです。
出典・参考:新規適用の手続き|日本年金機構(日本年金機構)
05青色申告の承認申請書は、合同会社でも期限の数え方が同じ

青色申告の承認申請書も、合同会社と株式会社で違いはありません。出さなくても罰則はありませんが、期限を過ぎるとその事業年度は青色申告の承認を受けられないため、合同会社の会社設立後の手続きとしては実質的に必ず出すものと考えておくのが安全です。
届出の5点セット(提出先・期限・様式・添付書類・提出方法)
| 書類 | 1 提出先 | 2 期限(起算日) | 3 様式の正式名称 | 4 添付書類 | 5 提出方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 青色申告の承認申請書 | 納税地の所轄税務署 | 設立の日以後3か月を経過した日と、最初の事業年度終了の日の、いずれか早い日の前日まで | 青色申告の承認申請書 (2026年10月6日確認) |
なし | e-Tax、または書面を持参・送付(1部) |
最初の事業年度が3か月に満たない場合でも、国税庁の案内では、設立の日以後3か月を経過した日と翌事業年度終了の日のいずれか早い日の前日までに出せば、翌事業年度から青色申告にできる特例が示されています。定款で決めた事業年度を確認し、期限がいつになるかを計算しておきましょう。
なお、国税庁の案内では、2026年10月1日以後に申請する場合、承認を受けようとする事業年度終了の日の欄など一部の項目が記載不要になったとされています。古い記入例を参考にするときは、この変更に注意してください。
合同会社の会社設立後は、法人設立届出書と青色申告の承認申請書を同じ日に出す方法がよく使われます。どちらも提出先は納税地の所轄税務署で、e-Taxなら続けて送信できます。期限の早いほうに合わせて2通を一度に片づければ、手続きの出し忘れを防ぎやすくなります。
出典・参考:C1-19 青色申告書の承認の申請|国税庁(国税庁)
06従業員を雇わない合同会社では「不要」になる届出

合同会社の「社員」は出資者のことで、雇用している従業員のことではありません。この言葉の違いが、労働保険の届出で混乱を招きます。兵庫労働局の案内では「労働者を雇用すると、法律上当然に労働保険が適用される」と説明されており、労働者を雇っていない合同会社は、会社設立後すぐに労働保険の手続きをする必要はありません。

最初の従業員を雇ったら、労働基準監督署への保険関係成立届(保険関係成立の日の翌日から10日以内)、ハローワークへの雇用保険適用事業所設置届(設置の日の翌日から10日以内)が続きます。採用の予定がある合同会社は初めて従業員を雇うときの届出を確認してください。
社員が家族だけの合同会社でも、扱いは同じです。出資して業務を執行している家族は「社員」であり、雇われている労働者とは区別されます。家族を従業員として雇う場合の扱いは個別の判断になるため、管轄の労働基準監督署に確認してから手続きを進めてください。
出典・参考:労働者を雇用したとき(労働保険)ー兵庫労働局(兵庫労働局)
07株式会社向けの説明を、合同会社に読み替えるための対応表

会社設立後の手続きを解説する記事や様式の記載例は、株式会社を前提に書かれているものが少なくありません。合同会社の方が読むときは、次の対応表で言葉を置き換えると、ほとんどの説明がそのまま使えます。

届出書の代表者欄には、登記事項証明書に記載された代表社員を書きます。記載例の「代表取締役」の部分を「代表社員」に置き換えるだけで、手続きの流れそのものは変わりません。書き方に迷った欄は、各様式の記載要領を開いて確認しながら進めてください。
このほか、消費税の新設法人に当たるかどうかの判定も、株式会社と同じく事業年度開始の日の資本金の額(出資の金額)が1,000万円以上かどうかで決まります。会社設立後に資本金が1,000万円未満の合同会社は、この届出の対象になりません。
対応表は、ほかの窓口の説明を読むときにも使えます。年金事務所やハローワークの案内に出てくる「事業主」は、合同会社では会社そのものを指し、届出書には代表社員が会社を代表して記入します。言葉の置き換えに慣れれば、合同会社だけを対象にした説明を探し回る必要はありません。
出典・参考:会社法|e-Gov 法令検索(デジタル庁(e-Gov法令検索))
08まとめ:合同会社は「言葉の読み替え」と「報酬を払う時期」で届出が決まる

合同会社の会社設立後の手続きは、株式会社と同じ届出を、合同会社の言葉に置き換えて出すものだと考えると整理しやすくなります。必ず出すのは法人設立届出書と自治体の届出、実質的に必ず出すのが青色申告の承認申請書。代表社員や業務執行社員に報酬を払うなら給与支払事務所等の開設届出書と社会保険の届出が加わり、従業員を雇うまでは労働保険の届出は不要です。

様式や期限は改正されることがあります。この記事の内容は2026年10月6日時点で確認したものなので、提出の前には各窓口の公式ページで最新の案内を確かめてください。期限を日付の順に並べたいときは会社設立後の期限とスケジュールが役に立ちます。
合同会社の会社設立後の手続きで最初にやるべきことは、報酬を払い始める日と、最初の従業員を雇う日を決めることです。この2つの日付が決まれば、ここで挙げた届出のうちどれが必要で、どれが当面は不要かがはっきりします。決まった日付を手帳に書き込み、期限の短いものから順に手続きを片づけていきましょう。
出典・参考:個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき|国税庁(国税庁)
最後に、これを読んでいるあなたへ
合同会社を選んだ方の多くは、身軽に事業を始めたいと考えていたはずです。会社設立後の届出も、必要なものを見極めれば身軽に済ませられます。
「株主」「取締役」と書かれた説明に出会っても、手を止める必要はありません。社員、業務執行社員、代表社員と読み替えて、自分の合同会社に当てはめてみてください。判断に迷う点は、税務なら税理士、社会保険・労働保険なら社会保険労務士、または各窓口に確認するのが確実です。
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